2007年01月25日
MilesDavisの一枚 "Round About Midnight"
東京の美容室で働き始めた頃、小さな安いラジカセで、音楽を聴いていた。毎日帰宅すると、AMやFMの面白そうな放送局を選んでは聞いた。くるくるとダイアルを回せばいろんな局があることに驚いた(広島では考えられなかった)。なかでも、j- waveやFENを好んで聞いた。友人の影響で、ジャズに興味を持ち始め、ダイナ・ワシントンや、ナット・キング・コール、ビリー・ホリデーなどのボーカルを中心に録音しては聴いた。
知り合いから譲り受けたテレビで、深夜番組「緊急特番・帝王死す!」(だったかどうかは定かではないが)を見て、マイルスの訃報を知った。当時は、マイルスの音楽もほとんど知らなかったけれども、その番組を見てすごい人なんだ、と強く感じた。その頃から、マイルスこそが、ジャズの中心人物だと考えるようになった。
クールや、モードのマイルスもいいけど、やはり、ハードバップ全盛の頃の演奏がいい。マラソンセッションと同時期に録音された「ROUND ABOUT MIDNIGHT」は、若きビバップ時代を思わせる熱気が感じられ、特にモンクが作曲したタイトル曲は、マイルスの象徴ともいえるミュートサウンドが冴えている。コルトレーンの若さと、レッド・ガーランド(p)、フィリージョー(ds)、ポールチェンバース(b)のバンドワークは、いつ聴いても新鮮で、その演奏のバランスも最高。
マイルスの音楽は、一聴したところ荒々しく感じられても、よく聴くと、非常に緻密に作られているところが『帝王』たる所以だと思う。